Blender2.8になりグリースペンシルの機能が大幅に拡張され、様々な用途に使える可能性が出てきた。この記事ではグリースペンシルでどのようなことができるのか、TwitterとYouTubeで見かけた画像や動画の作例を紹介する。
もくじ
背景作画への利用
繰り返しパターンをインスタンス複製したり、線画の一部を複製して配置できるCGソフト的な強みや、2Dとは違ってアングルや画角が調整可能な点が便利そう。
3次元のガイドとしての作例
Vehicle Design 01 – Blender 2.8 Grease Pencil & Photoshop Sketch – Timelapse - YouTube
グリースペンシルで描いたものを3次元のガイドとして使い、外部ペイントソフトで立体物を描き起こす、という手法。
正確なパースで描くことができる。
3Dコンテの作例
Blender GreasePencil storyboard test - YouTube
BLENDER 2.8 grease pencil storyboard animatic brand X version 2 - YouTube
親和性が高く、中々面白い使い方。
モデリング前にラフとして使用するのもありかもしれないと思えてきた。
3Dコンテにグリースペンシルを使う利点
- モデリングするより早く絵として表現できる
- 3Dモデルと併用できる
- 3次元空間に描けるので3Dのカメラワークに耐えられる
普通にペイントソフトとして使う作例
実際に自分も使用してみたが、グリースペンシルの描き心地のスムーズさが、普通のペイントソフトと遜色ないくらいになっている。
下絵描きなら十分にこなせる感じで、落書きもBlenderでいいのではと思える書き味だった。
交点消去
重なった線を自動で判定して消す事ができる。線画用途に使えるかもしれない。
立体作画
3Dモデルの表面上にグリースペンシルで描くことにより、立体的に作画することができる。
シルエットを見ながら描く
BLENDER | GREASE PENCIL TEST - YouTube
フィルとストロークを両方オンにすることで、シルエットを見ながら描くことができる。
アニメでの利用
きれいに清書したぬるぬるアニメの作例
Blender 2.8 Grease Pencil : Breakdown of a dance animation - YouTube
清書すればかなりきれいなアニメーションにできる模様。
スカルプトやプロポーショナル編集で形を整えている。
マンガのコマ風アニメーション
日本アニメ的な絵柄の作例
2D Animation in Blender 2.8 - Coloring Stage - YouTube
2D Animation in Blender - Artivity Log 07 - YouTube
日本アニメ的な絵柄のグリースペンシル線画・塗りのアニメ作業動画。
ひたすら地道1コマ1コマ描いていくのは変わらない模様。
格ゲー風アニメ
Office Fighter (Blender Grease Pencil ) - YouTube
自動中割(フレーム自動補完機能)
スカルプト(Photoshopのゆがみツール)やプロポーショナル編集(ソフトセレクション)などを利用することで、一度描いたものをそのまま利用して変形させ、フレームを増やすことができる。
各フレームが変形して作ったものであれば、そのフレームの間をフレーム自動補完機能を利用し、コマを作ることができる。
手動で描いてフレームを作っていった場合にも補完できなくはないが、破綻が生じる(書き順が同じものが変形順番対象になる・最短距離を補間しようとするせいか途中で形がおかしくなるなど)。
自動補完のやり方
- 間を補完したい始まりと終わりのフレームにグリースペンシルを書き込む
- 間を保管したいフレームの間に、現在のフレームを移動する
- グリースペンシルの編集モード → ヘッダー → 補間 → シーケンス を実行する
自動補完のくせ
- 書き順が同じストロークが変形順番対象になる
- ストロークを構成するポイント数が大幅に違うと失敗する
- 最短距離を補間しようとするせいか途中で形がおかしくなる
- 簡単な形状の、簡単な変形度合いであれば、描いたものでもそれなりに補完してくれる
- スカルプトやプロポーショナル編集で変形させたフレームならきれいに補完できる
グリースペンシルの自動補完機能のテスト
終始の2フレームのみを描き、自動補完機能を利用してどの程度補完してくれるかの検証。
- 黒 …… スカルプトにより描いたものを変形してフレームを作った
- 緑、赤 …… 2フレームとも描いた
黒の結果、やはり変形して作るときれいに補完される。
2フレームとも描くのは、やはり難しい模様。
赤の結果の口部分が、ストロークを構成するポイント数が大幅に違うせいか失敗している。
簡単な形状で少ない変化であれば描いてもそれなりに補完してくれる。しかし「M」の左上の先部分が途中で若干ギザ付いている。
その他
普通のリグのように口パクなどを管理する
Blender 2.8, Grease Pencil 2D rig - YouTube
各パーツのアニメーションにリグを付けて、髪のなびき・口パク・目の瞬きなどの切り替えを簡単にする、一般的なリグ構造を作るようなやり方。
公式の作例
The Future of Animation and Grease Pencil - YouTube
今後のアップデート
2020-02-21時点
今後のBlender2.83やそれより先のアップデートにて多くの機能強化・改善が予定されている。
- 実際のライトオブジェクトの照明をサポート
- 今まではモディファイアによる限定的なライティングの再現しかできなかった点を改善
- グリースペンシルが、普通の3Dオブジェクトと同等にライティングすることができるようになる
- ストロークの改善
- ストロークのポリゴン感のあるカクつきがなくなり、なめらかになる
- ストロークに複数の色がつけられるように
- 1ストロークに付き1色しかつけられなかった点を改善
- カラーイラスト制作を、より一般的なペイントソフトのように扱うことができる
- クリッピングマスクの改善
- パフォーマンスの改善
詳細は下記リンクへ。