
ハードサーフェスモデリングする際に得た知見をまとめる。
もくじ
考え方
工業製品らしさ
実在する工業製品らしさがあると説得力が上がる。
- 破損や使用者が怪我しないような面取り
- それぞれの箇所による適切な面取りの幅
- 折れて破損しないような太さ・厚さ
- きれいな平面と曲面
- 面の流れが変わるところの滑らかさ
- 一定の規則性
形状の意図を捉える・機能性を考慮する
実際に機能しそうと思えるような形状で説得力をもたせる。
機能性やパーツの目的を考慮した形状を作る。
人間のための持ち手の形状や、なにかを射出する穴・外装の留めるための留め具・組み立てを考慮した外装パーツの分類など、人工物の形には必ず意味がある。
美しい表面とハイライト
きれいなハイライトが入ることを重視する。
きれいな面にはきれいなハイライトが入り、その美しい表面がそのままハードサーフェスの魅力につながる。
ライトの当て方や様々な角度、ハイライトが見やすいMatcapなどを利用して表面を確認すること。
三角形やその他汚いトポロジによるシワができないようにする必要がある。
上記で公開されている2枚目のmatcapは、個人的に表面やエッジの確認に使いやすい。
気軽に作り直す
一度作ったものを削除するのは気が引けるが、ポリゴンモデリングは作り直した方が早くきれいに仕上がる場合が多い。
特定の箇所を修正したい時は、一度周囲やエッジループを削除してからやる方が楽。
さらにツールを利用して作り直した方が規則性があるので、最終的にはきれいに仕上がる。単純だが効果的。
機能
サブディビジョンサーフェス
サブディビジョンありきのモデルを作っていくのが基本。
途中で適用して、よりディティールを付け加えるような使い方も場合によっては必要。
面取り
基本的に3つ以上の辺のベベルを付けること。
2つだけだとベベルの内側の汚いトポロジにベベルのエッジが引っ張られてしまったり、ベベル位置に各種辺マークやシームなどを入れにくい。
それぞれの箇所による適切な面取りの幅を考慮する。
エッジに入るハイライトが細すぎたり太すぎたりしないかよく見る。
面取りの方法
状況によってループカットやベベルを使い分ける。
- ベベル
- 面取り用ツールなのでできることが多い。
- ループカット
- 後からエッジを追加しやすい。
- ナイフカット
- 手動でエッジを入れる方法。違うトポロジの流れを新しく作る時にも便利。
- インセット・押し出し
- 面取り用途で活躍する箇所は限定的だが、ループカットでは入れにくい箇所に辺ループを追加することができる。
ベベルモディファイア
ベベルモディファイアは便利だが、いくつかの欠点がある。
あくまで一時的な面取り確認の方法として利用し、最終的には適用・もしくは手動でベベルを入れ直して調整すること。
利点
- 頂点数を抑えられて編集でのメッシュ管理が楽。
- 簡易的に設定できる。
欠点
- 各種エッジマークをきれいに分けることができない。
- マテリアルの割り当て境界やシーム・Freestyleラインなど。
- 多角形面が発生する。
- 重複の回避をするため、最も狭いエッジが最大のベベル幅になる。
- オプションで無効化できるが、それだと重複する。
クリース
サブディビジョンの強度を調整することができる。
エッジの位置を固定できるので、確実に決まった位置にラインを入れたい時に便利。
完全に鋭角なエッジは工業製品にはほとんどありえないので、使い道がないか?強度1.0のエッジ固定用途以外で使用することはほぼない?
利点
- エッジを増やす必要がない
- 完全に鋭角なエッジにできる
- エッジの位置を固定できる
- サブディビジョンでエッジ位置がずれてしまうのを防ぐ
- マテリアル境界
- Freestyleライン
- 完全に鋭角なエッジ
欠点
- 1.0未満ではぬるい曲線のエッジになる
- ベベルのように、面取りを止める箇所がないため
- サブディビジョン・レベル2では解像度が足りない
穴を開ける
ブーリアンで穴を開ける・頂点を揃えて押し出すなど方法はいくつかある。
大体ブーリアンを適用した後にトポロジーを修正する方法の方が早い場合が多い。
よく使うツール
MiraTools アドオンの CStretch
モデリングにおいてほぼ必ず利用する優秀な便利ツール。
頂点を滑らかなエッジにでき、カーブで一括調整できる。
ポイント数が多いと調整しにくいので、基本的にポイント数3で利用している。
ポイント数が2なら直線化機能になる。
Mキーで頂点の均一化。
- 2 …… 直線化したい時
- 3 …… 基本的にポイント数3で利用
- 4、5 …… より長い曲線を調整したい時は4または5など
内蔵アドオンのLoopToolsを利用すれば、CStretchの一部機能を代替することができる。
直線化はGStretch、均一化はSpace機能。
LoopTools
頂点の均一化はLoopToolsのSpaceを利用する。
Edge Flowアドオン
エッジを適切な流れに補正する。
プロポーショナル編集
滑らかに移動したい時に利用する。
大量の頂点を一括して動かせるので滑らかに変形したい時に便利。
Shiftキーを押しながら移動して、丁寧に形状調整すること。
せん断
ある箇所からの位置を保持しながら、スライドするように移動することができる。斜めっている箇所での調整に有効。
その他
- 様々なモデリングツールがあるが、結局最終的は頂点1つ1つを手動で動かして調整することになる。
- 分離したパーツでも、密接する部分はエッジの数を揃える。
- サブディビジョンした際に同じ丸まり方になる。
- 例:車のタイヤとタイヤ周辺のパーツなど
- ポリゴンをケチらない。
- 完全に全て四角形ポリゴンである必要はない。
- 三角形はあってもよい。
- 目立つシワがないように作ること。
- 多角形はなくすこと。
- どちらにしろ最終的にはどのポリゴンもレンダリングする際に三角形化される。
- エッジを入れる必要がなさそうな場所でも、ポリ割り密度の均一さ優先した方がいい?
本当にポリゴンモデリングは最適なのか
正直ハードサーフェスを作る最もよい方法は、CADソフトを利用することのように思える。
ブーリアンやベベルを非破壊に行うことができ、規則性のあるものや精密性に長け、データとして正しいモデルが作れる。
ただ、どちらにしろ最終的にはBlenderなどに持っていって修正する必要はあるし、CADはCADで作りにくい・作れない形状もありそう。