パーティクルヘアーの使い方・作り方を紹介する。
パーティクルなら全て設定調整だけで作れそうと思いがちだが、ヘアーはポリゴンを編集する時のように1本1本丁寧に編集して作る必要がある。
もくじ
参考
実際に作っている動画を観ると工程がわかりやすい。
下地となるカツラを作る
上画像のようなパーティクルヘアーを生やす元オブジェクトを作成する。
頭のメッシュの頭頂を複製して作ると楽。
カツラのトポロジはさほど重要ではないので、ハイポリなら適当に自動リメッシュして削減すれば良い。
- プロパティ > メッシュ > リメッシュ > 四角形 > QuadFlowリメッシュ
場合によっては上画像とは違ってもみあげ部分や前頭部の調整も必要。
パーティクルヘアーを作成する
プロパティ > パーティクル > 右の「+」ボタンから新規作成すると、トゲトゲのアフロのようになる。
このままでは使えないので、3Dビュー左上のモード切替からパーティクル編集モードに切り替え、全て選択(A)して削除(Delete)する。
ちなみにパーティクルはBlenderにおいてはモディファイアであり、モディファイアの順番に影響するため注意。
髪の生え方を理解する
髪型を作るには髪の生え方を理解する必要がある。髪が生え始める場所や髪型による髪の流れの分け方を意識し、目的のヘアスタイルに近い参考画像を観察しながら作る。
上記サイトは髪の基本構造がわかりやすい。
場所ごとに分けて作る
全ての毛を同じパーティクル内で作らず、流れ・長さなどが違う箇所ごとに分けて作ると設定を分けることができ管理しやすい。前髪・後ろ髪・ランダムさを付けるための遊び毛など。
ヘアーガイドを編集する
これから作成するパスは、毛を沿わせるためのガイドである。
ヘアーガイドはあくまでも房の長さ・流れのベースを作るのものなので、大量に生やす必要はない。
実際の毛は、それらのガイドを元にした小パーティクルによって作られる。
最初は少なめで作って、足りない箇所に後から追加していく感じで作っていく。
おおまかな工程
子パーティクルを表示する
子パーティクルを表示して確認しやすくする。
- プロパティ > パーティクル > 子パーティクル > タイプをシンプルにする
編集しながら子パーティクルを表示できるようにする。
- サイドメニュー > ツール > オプション > ビューポート表示 > 子 を有効にする
追加ブラシで同じ流れのパスを数本追加する
追加ブラシで同じ流れのパスを数本追加する。
ブラシの設定は、数を1、ステップを10、キーを10程度。追加する数は1本ずつでよい。
追加したパスが長すぎる場合は、カットブラシや長さブラシでおおまかな長さを調節する。
パスを短くするには、大雑把にはカットブラシでもいいが、細かな調整は長さブラシのShift押しで短くする方が調整しやすい。そのため、自分はカットブラシより長さブラシをよく利用する。
くしブラシでなでつけて形を整える
追加・形状調整を繰り返して増やしていく
追加と調整を繰り返して全体の形状を作っていく。
ある程度できたら、弱めの強さにしたくしブラシを使うと微調整しやすい。
毛が足りない箇所に追加する
毛が足りない箇所には、追加ブラシの補完オプションを有効にして追加すると、近くの毛の長さや流れから補完されたパスを作ることができて便利。
選択を活用する
ヘアーはメッシュのように選択や移動をすることができ、選択している部分にのみブラシを影響させることができる。
編集したい部分のみを選択してから、ブラシで調整するのが基本的な編集方法。
1つをポイントを選択してリンク選択(L)をすれば、手早く編集したいパスを選択できる。
メッシュの頂点・辺・面のように、パーティクルはパス・ポイント・先端に選択モードを切り替えできる。「先端」だと1本につき1つだけポイントが表示されるので選択しやすい。
キーマップ登録で選択しやすく
リンク選択は頻繁に使いたいので、ダブルクリックにキー登録すると便利。
他にも、下記のようにすると選択しやすい。
- リンク選択(particle.select_linked)をShift + Ctrl+ 左ダブルクリック
- ボックス選択(view3d.select_box)をShift + Ctrl + 左マウスドラッグ
- 投げ縄選択(view3d.select_lasso) をShift + Alt + 左マウスドラッグ
トランスフォームも活用する
基本的にブラシで調整するのが直感的にやりやすいが、通常の移動・スケール・回転などのトランスフォームも利用することができる。
場合によってはこれらで調整した方がやりやすい。
パーティクルヘアーの設定
毛に細かな質感を追加する。
デフォルトのアフロでも、設定次第である程度自然に見せる事ができる。
子パーティクル
タイプはシンプルにする
ガイドの長さ・流れを元に、複数の毛を生成できる。
「補完」だとエミッター(生やしているメッシュ)に対して補完された子が全体的に生成される。これは体毛を作るときに便利だが、ヘアスタイルを細かく決めたい場合には制御しにくいため、「シンプル」がよい。
「半径」でガイドの周囲に分散する広さを決めることができる。
集結
上画像のように、カーブで子の広がりを調整することができる。
生え始めから少し広がって先端へ収束していく流れだと、髪の毛の束感を表現できる。
毛の太さ
Eeveeレンダーの場合、そのままでは毛の太さがないので、レンダー設定を太さ調整できる設定に変更する。
ヘアーの形状タイプをストリップに
プロパティ > レンダー > ヘアー > ヘアーの形状タイプをストリップに変更する
太さを調整する
プロパティ > パーティクル > ヘアー形状 > 根本の直径を調整する。
ストランド形状を調節すると、毛の太さの細まり方が先端に近いか根本に近いかを調整することができる。
特に、長い髪だと先端が細くなりがちなので、調整するとよい。
長い髪とその他の部位は分けて作った方が、それぞれに適した調整ができる。
エミッター(生やしているメッシュ)を表示から消す
Eeveeレンダーだと生やしているエミッターメッシュがレンダリングに表示されてしまう。
空の頂点グループを作成し、マスクモディファイアをパーティクルモディファイアの後に追加・作った頂点グループを追加すると、エミッターだけを非表示にすることができる。
エミッターを変更する
エミッターメッシュを編集するとせっかく作ったヘアーが壊れてしまう。
これはヘアーとエミッターが関連付けられているために起こる。
エミッターを編集したい場合は、ヘアーを切断を実行して一旦関連付けを解除する。
パーティクルヘアーとエミッターとの「関係を切断」してから編集し、再度関係を接続することでヘアーを壊すことなく編集することができる。
(エミッターの形が変わりすぎるとヘアーを保持できないので注意)
ヘアーを別オブジェクトに転写する
ヘアーは別オブジェクトに転写することができる。
- 転写先のオブジェクト > 転写元のヘアーオブジェクトの順で複数選択する
- グローバル位置で転写されるため、両方のオブジェクトを同じ位置に配置しておくこと
- プロパティ > パーティクル > ヘアーを切断 を実行する
- 複数のヘアーを持っている場合は全て接続解除
- この時子パーティクルが表示されなくなるが問題ない。解除後のヘアーはグローバル座標位置に固定されるため、むやみにオブジェクトを動かさない方がよい
- プロパティ > パーティクル > 右のメニュー内 > アクティブから選択にコピー
- ヘアーを接続を実行して、再度転写元のエミッターメッシュとの接続を戻す
ヘアーの質感を作る
髪の質感作りについてはこちら。
課題
パーティクルヘアーの形状作成においてはある程度分かればBlenderでも作りやすい。
ただ、基本機能が足りていないように感じる(複製・別パーティクルに分離/結合・子パーティクルの実体化・選択を保存しやすい頂点グループなど)。
特にポリゴンメッシュのようにデータの行き来が不可能?
分離・結合・頂点グループ・選択補助機能などがある下記のようなアドオンはある模様(自分は未検証/執筆時点で$45)。
Blender Addon | Hair Extension Toolkit | VFX Grace - gumroad