プラグイン販売で月最大6万稼ぐことができた際のレポート・一連の流れを紹介する。
だいぶ一連の流れも固まって来たのでここにまとめる。
今回は、販売サイトの紹介から振り返りまでを解説する。
前回の、開発から告知と告知用素材の作り方はこちら ↓
もくじ
プラグインを販売する
販売サイトを決める
自分にあったサイトを利用するとよい。
多くの人が利用しているサイトや、有名で信頼されやすいサイトがよい。
販売サイトには、
告知をユーザーに任せるかわりに手数料の少ない販売サイトと、
サイト自体が告知を頻発したりサイトの質が高いかわりに、手数料を多めに取る販売サイトがある。
複数のサイトを利用するとよい。その分管理の手間は増えるが、各サイトにしかいないユーザーをターゲットにできるので、やる意義は大きい。
- ターゲットユーザーの多さ・知名度
- ユーザーの利便性
- 自分自身の利便性
- 手数料
Blender Market
Blender関連の商品専用の販売サイト。
商品審査があるので、掲載商品には一定の品質が保たれており、ユーザーはBlender関連商品の購入を目的としてサイトに登録・閲覧しているので、購入率は高い。
- サイトと商品の品質が保たれている分、購入意欲のあるユーザーが多い印象
- 手数料は3割
- サブスクリプションで減らせる
- $0商品の販売もできるが、販売者はサブスク登録($25~)が必要
- (2022-06-09から可能になった)
欠点
- 商品審査があり、公開には3,4日かかる
- 一定の商品量(and長期間?)を超えれば、信頼できる販売者として審査が免除され、即時公開ができるようになる。
- Blender関連商品限定
gumroad
ユーザーの会員登録が不要・手数料5%・$0から公開できる。
ここが主に自分の利用しているプラグイン公開サイト。
サイト内からの流入はあまり期待できないため、ここ以外のサイトでの告知は必須。
ダウンロード・購入には会員登録がいらない
ダウンロード・購入には会員登録がいらないのはかなりの強み。
会員登録しなくていいというのは、ユーザーが購入するまでの手間・クリック数を減らせるということなので、このメリットは大きい。
「購入までに必要なクリック数が多いほど、購買意欲は減っていく」と言われるように、購入に必要な手順は少ないほどよい。
有償の商品を購入する場合は、メールアドレスを登録し、クレジットカード・PayPalから支払いで購入できる。
$0+に設定した商品を、ユーザーが$0で購入する場合は、クレジットカードの登録も不要。
上乗せ支払いができる
価格設定で、数字の末尾に"+"をつければ、ユーザーが設定価格以上を支払うことができる。
無料で公開しても場合によっては収益を得ることもできる。
ただ、 あくまでもユーザーの任意で上乗せしてもらえるだけなので、ほとんど期待しないほうがよい。
実際に上乗せ支払いしてくれた回数は、gumroadを始めてから数回程度。
価格を$0~から公開できる
価格を$0~から公開できるので、有償プラグインと無償プラグインを同じ場所で公開できるのがよい。
以前はGithubで作ったプラグインを公開していたが、ユーザーからはサイトの使い方が分かりづらいことと、画像や動画など説明文を彩るのが面倒だったので、無償公開のプラグインもgumroadにすべて乗り換えた。
なんでも販売できる
ジャンル関係なく何でも販売できるので、様々なものを収益化しやすい。
欠点
- 機能が把握しづらい
- 商品審査がない上様々なものを販売できるため、扱っている商品は非常に雑多
- サイト内検索からの流入は期待できない
※ 以前の「サンプル画像の入れ替えができない\という欠点はアップデートにより解決した(2020-04-26追記)
※ 以前の「文字の装飾機能が少ない・コピペでリッチテキストの貼り付けができない」欠点はアップデートにより解決した
BOOTH
Pixivの関連サイト。
日本向けのデータ販売サイトでは大手といえる。
VRChatのアセットやCG関連商品が賑わっている模様。
サイト内からの流入はあまり期待できないため、ここ以外のサイトでの告知は必須。
- pixivアカウントが必要
- 販売手数料が低い(3.6%)
- 支払い方法が多く、クレジットカードを持っていなくても購入できる
欠点
- 購入にはpixivアカウントが必要
- 商品説明文が区切られていて使いづらい
- 文字の装飾機能が少ない・コピペでリッチテキストの貼り付けができない
- 動画を埋め込むには埋め込みコードが必要
- 商品審査がないので扱っている商品は非常に雑多
- サイト内検索からの流入は期待できない
- 標準では顧客に一括メール送信ができない
- 有償機能
- 月に3回制限で月額550円
- 他の販売サイトでは当然ある機能で回数制限もないのに対し、月額必要で他のサービスも付いておらず、回数制限がある
サポートする
販売することができたら、無償プラグイン以上にサポートする必要ある。
バグ報告に対応したり、ユーザーの意見を取り入れたりすることで、信頼を得たり、プラグインの質を高めることができる。
余裕があればできるかぎり対応するとよい。
商品の品質に関わる致命的なバグは、なるべく早く直す必要がある。
自分は告知サイトをそのままサポート窓口にしている。TwitterとBlenderArtistsからが多い。
ユーザー全員がその告知サイトのアカウントを持っているわけではないので、問い合わせ用メールアドレスを公開するなど、アカウントが不要な窓口も用意するとよい。
売り上げの考察
月ごとの考察
自分がBlenderのプラグインで稼げた理由を考察する。
上の画像は、Paypalの売上を月ごとに合計して作ったグラフ。
2月 $47.29
プラグイン販売を開始した。
以前から無償で作っていたプラグインがあったので、アップデートと同時に有償化した。
3月 $521.10
異常に売り上げたこの月は、G-Lasso Draw という商品がヒットしたため。
4~7月 $100前後
その後は平均的に1万円前後。複数のプラグインを本格的に作り始める。
8月 $344.69
8月、Blenderが大型アップデートを公開した月でユーザー数も増えた。
5月に公開したAll Material Listという1つのプラグインを、順調にアップデートして完成度が高くなってきた時だろうか。
また、 Blenderの大型アップデートには、プラグインを必ずアップデートして対応させる必要があったため、自作プラグインは既にそれが対応済みだったことも大きい。
9月 $638.14
9月、今までgumroadだけだった販売サイトを増やした。
増やしたサイトの1つであるBlender Marketが、gumroadと同等の売り上げを出した。
Blender Market が $330、gumroad が $300。
経費について
大雑把に16000円程度。下記以外に、プラグイン制作で必要になって購入したものはない。
ノートパソコン一つあればほとんどの作業はできるのが、データ販売の強み。
それ以外でもっとも消費したものといえば、告知に関連する素材作りや販売サイトの管理・サポートのための[時間]が最もかかっているといえる。
- このサイトの維持費 - 年4000円
- パッケージ画像などの作成用のPhotoshop税 - 6ヶ月やって解約 6000円
- 同じく画像編集用のAffinity Photo に乗り換え- 買い切り 6000円
総評
- 商品のヒット
- 全体のユーザー数の増加、それを逃さない告知と準備
- 最新のアップデートへの対応
- 地道に完成度を高める
- 商品に即した販売サイトを増やす
市場が小さかった・未開拓だった
Blenderの中級者以上のユーザーは少なく、
その中でプラグインをプログラミングして公開・販売する人はより少なかった。
そして、Blender自体にまだ足りていない機能が多く、プラグインで改善する余地があった。
Blenderそのものが好きだった
自分はBlender自体が好きだったので、色々溜め込んだ知識を活かせた。
ヒットした商品からの考察
売上のほとんどはヒットした商品であり、売れてない商品の売上貢献は少ない。
ヒット商品をまた出すとすれば、数撃ちゃ当たる論だろうか。ただし、当てようという意思を持ってあれこれ作るのは大事。
また、かけた労力と売上は比例しないのは本当にそう。
購入者数は案外少ない
gumroadの売り上げた数を見ると、案外購入者数は少ない。
売れたプラグインである、All Material List と Lazy Weight Tool は、
どちらも閲覧数は 約900 、売上げ数は約50 。
売り上げそこそこのものは、
どれも閲覧数は 約500 、売上げ数は 約20 である。
人数で見ると多くは感じないが、
大雑把に閲覧数の[5%] の人が、最終的に購入に至っている。
閲覧数は、購入者になる可能性がある人
閲覧数は、購入者になる可能性のある人の数である。
閲覧者の人は、英語圏・日本語圏の、Blenderユーザーの、プラグインに対して興味のある人で、gumroadのサイトまでクリックに至った人である。
自分の購入者数と購入率が、他ジャンルの販売よりも多いか少ないかはわからないが、そもそも母数である「プラグインを使うBlenderユーザー」というのは多くはなさそう。
今後、広告する言語圏やサイトを増やしたり、より関心の高いプラグインを作ったりして、見込み客をより広げていけば、閲覧数が増え、最終的には購入に至る人が増える余地がある。
商品単価を上げる
商品単価を上げるのは、売り上げアップにシンプルに効果的である。
もちろん価格に見合ったクオリティとサポートが必要。
自分はAll Material List プラグインに重点的に力を入れて、多めに設定している。
逆に低い金額設定は、その分多く販売する必要があり、プラグインのような商品ジャンルではまとまった売上になりにくい。
また、無理に安くしても、必要としない人は買わないし、値段以上のサポートもしづらくなる。
機能の便利さ・固有性・かかった労力などのバランスを見て、自分がもし買うとしたら適正価格、と呼べる価格を設定する。
- 高い金額設定は、売上アップに効果的
- 低い金額設定は、多く販売する必要があり、売上が見込めない
- 便利さ・固有性・制作費用労力を考慮して、自分が思う適正価格にする
ヒットした商品
G-Lasso Draw
3D-Coatにある機能から発想を得て、Blenderで再現したもの。
動画のスイスイモデルが作れるインパクトが大きかったと考える。
内部構造的には大したことをしていない。
実際の作業で大きく便利、という機能ではなかったが、
目新しく革新的に見えたのがヒットした点だと考える。
All Material List
マテリアル・画像のリスト表示・管理機能をプラグインにしたもの。
このプラグインは、機能の開発も頑張った。
Blenderに足りない部分であり、純粋に必要性の高い機能だったからヒットしたと考える。
Lazy Weight Tool
3ds Maxのような数値でのウェイト編集ツールをBlenderで再現したもの。
内部構造的には大したことをしていない。
Blenderに足りない部分であり、純粋に必要性の高い機能だったからヒットしたと考える。
あまり売れなかった商品
自分自身は便利だと思っているプラグインで、今も使っているが売れはしなかったプラグインを紹介する。
告知が足りていなかった部分も大きい。
info_header_useful
ヘッダーをアイコン化して、細かな機能のボタンを追加するプラグイン。
動画や画像で告知しても機能がわかりにくかった。
w_pie
多くの機能をパイメニュー(マーキングメニュー)からアクセスするプラグイン。
パイメニュープラグイン自体に競合が多かった。
Keymap_Set
一般的なキー設定のプリセットを追加するプラグイン。
Blenderをすぐさま自分用にカスタマイズするための多くのキー設定を追加する。
キー設定ファイルではなく、部分的に有効化・無効化できる、というのが違いだったが、その違いがわかりにくかった。
あとがき - プラグイン販売の欠点
プラグイン販売は、開発・ドキュメント作成・告知用素材作成・告知・サポートなどやることが多い。
労力に利益が見合っているかと言うと疑問。
金を稼ぐ方法としては、他にもっといい方法があると考える。
特に、販売後のサポートの必要性が大きいのも、他の商品販売と違って大変な点か。商品作ったら後は売るだけ、ということは難しい。
プラグインは新しい商品を作るにしても、元となる発想が必要なため、量産はできない。
ただ、趣味の副業としては、時と場所を選ばずにパソコン1つですべて完結できるので、その点ではよい。