人型を1本のスカルプトブラシで作る方法を紹介する。
頂点を直接編集せず基本的な形状をブラシで調整するだけで作るので、3DCG初心者でも作りやすい。
もくじ
動画
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シルエットを整える
造形はシルエットを整えるだけでもそれらしい見た目を作ることができる。
そのため、今回は立方体や円柱のような簡単な形状のシルエットを整えることで素体を作る。
大まかな手順
- プリミティブの作成する。
- オブジェクトモード > 追加(Shift + A) > メッシュ > 立方体など。
- 円柱の頂点数は16程度にする。
- メッシュを分割して頂点数を増やす。
- 編集モード > 辺 > 細分化
- 円柱は、ループカットで分割数を増やす。
編集モード > 辺 > ループカットとスライド(Ctrl + R)
- スカルプトで形状調整する。
- 基本はスネークフックブラシを使う。
設定を変えて、シルエットを調整しやすくする。
ツール > ブラシ設定 > 減衰 > 減衰の形状オプションを「投影」にする。
- 基本はスネークフックブラシを使う。
- エッジが足りなく感じてきたらループカットで増やす。
- 形状ができたらパーツ同士を結合して繋げる。
ベースはローポリの基本形状でOK
スカルプトといえば粘土を掘るようにハイポリメッシュを掘るイメージが強いが、立方体や円柱などの基本形状を少し細分化しただけのプリミティブからでもスカルプトで作り込むことができる。
必要になったらその都度ループカットで分割していく。
スネークフックブラシを使う
ブラシは、メッシュを掴んで移動させる系のブラシを使う。
移動系ブラシなら何でもいいのだが、スネークフック(K)は掴んで移動すれば移動するだけメッシュを伸ばせて挙動が素直なので、自分はこれを使っている。
グラブ(G)でもよい。
スカルプトでシルエットを整えるコツとしては、ブラシの強さを0.1~0.2程度に弱くしておき、ブラシサイズは大きめにすることで、優しく形状を調整することができる。
減衰の形状オプションを変える
スカルプトの初期設定はブラシで触れた表面にのみ影響するようになっているので、モデルのシルエットを整えようとしても奥まで均一に動かすことが難しい。
ツール > ブラシ設定 > 減衰 > 減衰の形状オプションを「投影」にすることで、触れた部分を奥行きも含めて影響するようにすることができる。
この設定のブラシを使って、各視点から見栄えの良いように整えていけば、自ずと造形を作っていくことができる。
減衰の形状について
球:実際のブラシと同じように、塗った範囲にのみ影響する。
投影:今見ているビューからどこまでも奥行きがあるように影響する(円柱の棒で押し付けるようなイメージ)。
スカルプト作業での便利な操作
- パイメニューにより、スカルプトモードとオブジェクトモードを素早く切り替えることができる。
- モード切り替え:Ctrl + Tab
- ブラシサイズの変更:F
- ブラシの強さの変更:Shift + F
- 素早く別のオブジェクトをアクティブにする。
- 「モードの転送」キーマップを使えば、スカルプトモードを維持したまま別のオブジェクトを素早くアクティブにできる。
- モードの転送(Alt + Q)
- スライドリラックスでワイヤーフレームを均す。
- 造形していくうちにワイヤーフレームが汚くなってきたら、スライドリラックスブラシを使うときれいに均せる。
- スカルプトモードにて、スライドリラックスにして、Shiftを押しながら塗る
- ミラー(対称)。
- ツール > 対称 > ミラー > X
- ヘッダーのツール設定の右部分からもアクセスできる。
- オブジェクトを一時的に非表示。
- オブジェクト > 表示/隠す > 選択物を隠す(H)
- アクティブオブジェクトのみを単体表示。
- ローカル表示(「/」キー)
その他
反対側はミラーモディファイアで作る
腕や足などの反対側は、別オブジェクトを中心としたミラーで複製するとよい。
これによって、元オブジェクト自身の回転に影響されずにミラーを行うことができる。
- プロパティ > モディファイア > モディファイアを追加 >生成 > ミラーモディファイアを追加する。
- 「ミラーオブジェクト」の設定に、胴体などの中心のオブジェクトに設定する。
- ちなみに、オブジェクト指定の領域内でEキーを押すとマウスポインタがスポイトアイコンに変わり、3Dビューから直接対象オブジェクトを選択することができる。
円柱の上下の面は削除しておく
腕や足の円柱の上下面は削除しておくとよい。
- この面を一気に削除したい場合は、下記の方法で一括選択できる。
- 全ての円柱オブジェクトを選択 > 編集モードに入る > 消したい面を1つ選択 > 選択 > 類似選択 > 「辺の数」
Object has non-uniform scale, sculpting may be unpredictableの警告の対処法
スカルプトモードに入ると「Object has non-uniform scale, sculpting may be unpredictable」というエラーが出る場合は、オブジェクトのスケールを適用する。
オブジェクトのスケールが不均一だとうまく操作できないことが多いので、スケールを変えた後は適用することを忘れないこと。
- オブジェクトモード > オブジェクト > 適用 > スケール
ある程度作ったら各パーツを繋げる
モデルをある程度作ったら、オブジェクトを結合し、各パーツのメッシュをつなげる。
つなげる箇所を1ループ分削除しておいてから、F2アドオンでつなげるのがおすすめ。
足と手は後ほど指を作り込む必要があるため、今回作った方はボリューム感がわかる下書きに使い、作り直した方が早いかも。
- オブジェクト同士を結合
- オブジェクトモード > オブジェクト > 結合(Ctrl + J)
- F2アドオン
- 設定 > アドオン > 「F2」と検索 > F2アドオンを有効化する > 編集モードで、頂点2つを選択してFキーを押す。
連続でFキーを押すことで、連続して繋げられる。
- 設定 > アドオン > 「F2」と検索 > F2アドオンを有効化する > 編集モードで、頂点2つを選択してFキーを押す。
- パーツ同士の頂点をつなげるその他の手段
- 編集モード > メッシュ > マージ(M) > 中心に
- 編集モード > 頂点 > 中心に頂点から新規辺/面を作成(F)
メッシュを作り込む
ボーンを入れた際に自然に動くようにしたり、さらに身体の造形を作り込みたい場合は、素体を下地にメッシュを作り直す。
(身体の大部分が服で隠れる予定だったり、デフォルメ寄りのキャラだったりなど、自分が目指すものによっては作り込む必要はない)
上記動画のように、「ナイフツールで新しいポリ割りの流れを作る → 古いエッジを削除する」という作業を繰り返して、ポリ割りを作り直す。
特に肩や尻はよく曲がるので作り直すとよりよい。